ボトックスと妊娠の関係性
ボトックスの副作用
顔の若々しさを保つためにボトックス注射を受けている女性はたくさんいます。ボトックス注射とはボツリヌス菌から作り出された筋弛緩作用がある成分をシワができやすい眉間や目じりに注射して筋肉の動きを緩め、表情を変えて筋肉が動くことによって出来るシワが目立たなくなる効果があります。
ボトックス注射には厚生省が認可した薬剤を使用するので安全ですが、副作用が起きた例も報告されています。報告例が多い副作用は頭痛・眼瞼下垂・注射部位の疼痛です。
ボトックス注射は頭痛の治療にも用いられますが、頭痛もちではない人が注射を受けると筋肉や神経のバランスが変わり頭痛が起こる事があります。眼瞼下垂は額に注射をする事で額や眉間の動きが悪くなり、瞼の重さで眼瞼が下垂します。また注射部位の疼痛は注射部位のひきつった感じや周辺筋肉の緊張などから起こると言われています。
その他にも頻度は多くありませんが、吐き気や発熱・眩暈や羞明などの目の症状など、様々な副作用例が報告されています。
胎児は薬の作用を受けやすい?
ボトックス注射は顔のしわを伸ばす効果があり、注射を受けている人はたくさんいます。美容整形と比べたら1回の注射で3か月程度効果が持続するので取り入れやすいのかもしれません。しかしボトックス注射を受ける前にある程度の知識が必要です。
ボトックスはボツリヌス菌から生成された成分で、このボツリヌス菌は食中毒菌の中でも毒性の強い菌の仲間に入ります。ボツリヌス菌を持った食品を摂取すると体内で毒素を作り、その毒素によって神経筋中毒を引き起こします。手足などから始まり呼吸筋まで侵されると重篤な症状に陥ります。
ボトックス注射はボツリヌス菌の濃度は薄く安全なものですが、元々が非常に毒性が強い食中毒菌です。ボトックス注射を受けるという事はその菌の影響下に置かれているという事になります。生殖器への影響が考えられるので妊娠の可能性がある人・妊活中の男女・授乳中の人には使用が禁忌とされています。
しかし妊娠に気づかずにボトックス注射を受けてしまった場合があるかもしれません。それがもし妊娠超初期や初期段階では胎盤が完成されておらずへその緒からの栄養供給がされていない段階なので、胎児への薬剤やアルコールの影響は少ないと言われています。しかし念のためかかりつけの産婦人科の先生には伝えた方が良いでしょう。
女性だけではなく男性も注意!
注射後、妊活はどれくらい期間を開けるべき?
ボトックス注射は胎児・乳児への安全性が100%の割合で確保されていません。これにより妊活中や妊娠中の人、授乳中の人には投与は禁忌とされています。出産後は断乳が終わるまでは注射は原則受けられません。
そして妊活中の人も注意が必要です。ボトックス注射の胎児への影響が無いとは言えず、妊娠を望んでいる期間のボトックス注射は避ける必要があります。
妊娠の可能性が無くてボトックス注射を受けた場合の女性も気をつけるべきことがあります。ボトックス注射の効果は一般的に3~4か月持続すると言われているので、注射後最低3か月間は妊娠を避ける必要があります。目安としては注射後2回目の生理が終わるまでの期間です。ある程度の期間が経つと、ボトックス注射の成分は自然に体の中から消えていきます。
ボトックス注射後の避妊については、女性だけの問題ではありません。男性も多汗症の治療や小顔にするためにボトックス注射を受ける人が増えました。女性だけでなく男性も注射後3か月は避妊する必要があります。3か月という期間は、精子が形成される期間を考慮して決められています。妊活中の男性も女性と同じように、ボトックス注射を受けることが出来ません。
影響がない可能性もあり
ボトックス注射について、妊娠中や授乳中は投与が禁忌とされています。ボトックス注射は海外で妊娠中に投与した患者から胎児死亡例や奇形についての報告がされています。
そして動物実験では妊娠や胎児への影響が報告されています。このように絶対ではありませんが可能性が残されている場合は、投与を避けるべきなのです。
しかし倫理上、妊娠中の人にボトックス注射を投与して実験することはできません。必ず胎児への影響が起こると証明をされているわけでもありません。
まだ誰もボトックス注射の胎児や乳児への影響は正確にはわからないのです。もしも妊娠に気づかずに注射をしてしまった場合や、注射後に避妊をせずすぐに妊娠してしまった場合にも極度に怖がる必要はありません。
ボトックス注射の問題が無かったとしても、妊娠中はつわりの事や産まれてくる赤ちゃんの健康や、無事に出産できるかなどたくさんの不安を抱えています。
かかりつけの産婦人科の先生の指導のもと穏やかな気持ちで毎日過ごし、安心して妊娠生活を送る事が大切です。