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形成外科・美容外科において外科的治療が施された後は、創部が腫れる可能性があります。術後に起こるダウンタイムをいかに悪化させないように、またいかに長引かせないようにするのかが肝心です。

 

それには、術後になぜ腫れを伴うのかを知り、生活習慣の中で腫れを悪化させる可能性がある習慣を控える事が必要です。今回は、ダウンタイムを速やかに終わらせるための原因と対策をご紹介します。

 

整形後どうして腫れるの

腫れる原因と、期間はどれくらい

術後に腫れてしまう原因は大きく2パターンあります。ひとつは、医師の技法や技術の問題です。手術時間がより短かく、よりシンプルな治療手順・技量をもって治療された時は、腫れや内出血などの症状が少ないです。治療手順を迷う事なく行う事で、出血も少なくて済みます。

 

一方で、患者側に原因がある事もあります。例えば、美容外科治療では局所麻酔をして治療に臨む事も少なくありません。局所麻酔は治療部位の痛みを取り除く目的でなされますので、意識がある状態で治療が行われる事になります。そうすると、治療する場所によっては治療部分を見てしまったり、痛みはなくても感覚はありますので、緊張と恐れから血圧が上がってしまい、術後の腫れをより酷くしてしまう事もあるのです。

 

また、腫れが続く期間に関しては、前述の理由で個人差もありますし、治療内容によっても異なります。例えば、脂肪溶解注射のメソセラピー治療内容についてはおおよそ3日から4日の間腫れを伴う事があります。

 

しかし、同じく脂肪溶解注射のBNLS治療においては、1日から2日にかけて創部が浮腫を起こすことはありますが、腫れがひどくなったり創部が熱を持つという事はほとんどありません。このように、症状が比較的軽くダウンタイムが短い理由は、注射する成分そのものに代謝を促す作用・傷口を修繕する作用・肌の浮腫を減少する作用などが期待できるからなのです。

 

では、もしも腫れてしまった場合、どのように対処すべきなのでしょうか。

 

 

腫れた後の過ごし方

前述の通り、治療部分の腫れを悪化させてしまう原因は、老廃物が留まってしまう事で起こります。医師からは、事前に手術して何日の間、活動を制約しなければならないのか案内される事でしょう。手術後の生活状況によって、ダウンタイムを最小限に留めることは可能です。

 

ダウンタイムを最小限にするには、血行が良くなる活動を極力しないように心がけ、創部を保冷剤で冷やしたり、安静にしておく事が大切です。入浴や運動をしたり、辛いものなどの刺激物を食べたり、お酒を飲む事も、腫れを促す原因になりますので、避けるようにしましょう。

 

そして、実は喫煙も腫れを悪化させる原因になるのです。その理由は、一体何なのでしょうか。

 

 

腫れてるときにタバコがNGの理由は

ニコチンが免疫力を低下させる

治療部分が腫れるのは、老廃物が溜まっているためです。これを速やかに排出させるためには、代謝を促す事と、酸化物質を排除する事が必要です。

 

対して、喫煙はニコチン・一酸化炭素・一酸化窒素が、治療部分を汚染する事で細菌感染を助長させ、膿を悪化させてしまいます。

 

2015年のある調査(※)では、日々の喫煙が術前・術中・術後にどのような影響を与えるのか調べています。これによると、喫煙者は非喫煙者に比べ、創部感染などの合併症の発症率が有意に高まったとされています。

 

喫煙がダウンタイムを長引かせるメカニズムは次のとおりです。

 

ニコチンが喫煙の直後に交感神経を興奮状態にさせるため、酸素消費量が増加しますが、その一方で血管を収縮させるため、血液循環が良くなり酸素を必要とします。しかし、タバコの煙に含まれている一酸化炭素は、ヘモグロビンが酸素と結合するのを妨げるため、身体中に十分な量の酸素が行き渡らず、酸欠状態になってしまいます。結果的に、体内の老廃物や二酸化炭素を体外へ排出する働きが鈍ります。

 

こうして上手く代謝がなされないと、治療部分の膿がなかなか排出されません。また、ニコチンは酸化物質をたくさん作り出してしまいます。結果的に免疫力も下がってしまい細菌感染を起こしやすくなり、ダウンタイムがより長引いてしまうリスクが高まってしまうのです。

 

※周術期禁煙ガイドライン http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/20150409-1guidelin.pdf

 

 

血流が悪くなる

タバコを吸う事で血流が悪くなると、細菌が増殖し、治療後の腫れた部分で細菌が増えてしまいます。ニキビに例えるなら、毛穴の中に溜まった汚れを餌にして細菌が増えたために、毛穴そのものが化膿してしまった状態のことです。

 

また、細菌が治療部分に侵入するのは、創部を刺激する事で手や空気中から術後の傷口に細菌が入り、炎症を悪化させてしまうという事がきっかけで起こる事もあるのです。

 

以上の理由から、医療従事者の視点で見ると、喫煙は生活にはもちろん、手術にも悪影響を及ぼすという事を共通認識として持っているのです。美容形成外科治療においても同様で、タバコの煙に含まれる有害物質が相乗効果で腫れを長引かせたり悪化させる原因となり得ますので、タバコを吸っている方はタバコがなぜ悪いとされているのかをしっかりと理解した上で治療に臨むと良いでしょう。